症例2. 猫(日本猫)
性別: 虚勢済み雄
年齢: 11歳
疾患: 甲状腺機能亢進症、慢性下痢
経過:
2023年9月、2か月前から下痢と吐き気が続いており、飼い主がネットで購入した整腸剤を服用していたものの改善せず、病院での血液検査でT4値が測定限界(8µg/dL以上)を超え、甲状腺機能亢進症と診断されました。飼い主の希望により、甲状腺機能亢進症用の錠剤を粉にして投与し、下痢止めを併用しましたが、2週間後には吐き気は減少したものの軟便が続いていたため、甲状腺薬の量を倍に増やしました。
その後、再診でも軟便は改善せず、下痢止めは悪化を招くため休薬し、甲状腺薬のみを継続しました。11月上旬の検査ではT4値が6.3µg/dLと高く、「薬を飲むのを嫌がり始めた」という飼い主の訴えがありました。そこで、待合室で「ピルサポート」のグリーンとピンクを試したところ、よく食べたため、粉薬を錠剤に切り替えることにしました。
その1か月後にはT4値が2.5µg/dLまで低下し、下痢や吐き気も改善しました。2024年9月19日時点でT4値は2.8µg/dLで体重も4.2kgから6.2kgに増加しました。
飼い主からは「毎日の投薬も猫が喜んで催促するようになり、薬を与える時間が短縮できて非常に満足している」との報告を受け、私も投薬の重要性を改めて実感した症例です。
*猫のT4参考基準値0.9₋3.7µg/dL
甲状腺機能亢進症によって腎血流量が変化しますが、薬によってそれは安定し、ピルサポートを食べても腎、肝数値に変化はありませんでした。
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